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「摺り合せ」と「焼き入れ」 その1

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「摺り合せ」と「焼き入れ」 その1


今回は、「摺り合せ」と「焼き入れ」というテーマです。これはれっきとした工業用語で、大辞林によると「摺り合せ:機械部品の仕上げを行う場合に、部品表面が正しい均一面をもつように精密に仕上げていく作業。
焼(き)入れ: 金属の熱処理操作の一。金属を高温に加熱したのち急冷して組成を変えること。これによって鋼を硬化させることができる。鋼の場合のほか、ジュラルミンなどに対しても行う。 」となっています。
しかし、ブレーキパッドでいう「摺り合せ」と「焼き入れ」は、考え方は似ているものの少し違います。

今回は、まず 「摺り合せ」です。 
一般的には「摺り合せ」、「焼きを入れる」とも同じような意味合いで使っているようですが、ここでは違う意味として説明させていただきます。

「摺り合せ」は別名、「当り付け」「慣らし」とも呼ばれています。パッドを交換した際、パッド表面とローター表面を摺り合せによりなじませることです。
ディスクブレーキは、ローター表面とパッド表面がピッタリすりあって、初めて本来の性能が発揮され、しかも鳴きも少なくなります。例えばローターはそのままで、パッドを新品に換えたとします。ローター表面にはパッドの摩耗粉が溜まっていたり傷が入ったりしているので、どうしてもパッドと部分当たりをすることになります。


そこで均一に当たるまで「摺り合せ」が必要になってきます。その方法は、パッド材質によって違いますが、おおよそ以下のとおりです。

・ ノーマルパッド(純正、優良)、アドヴィックススポーツパッド(SS/SS-RV)は「通常の速度、通常の減速度、街乗りで100km」が目安です。金属繊維を使っていませんので、わざわざ高温にしなくても(100℃以下が望ましい)簡単になじみます。

・ メタッリック系(他メーカー)は金属繊維が使われているため、なじみをつけるのが上記パッドより難しいようです。「やや高速、通常の減速度、街乗りで200km以上、約200℃」がおおよその目安です(詳細は各メーカーの指示に従ってください)。
またメタリック系パッドは「摺り合せ」をしないと摩擦係数が大幅に低下することがありますので、必ず行なってください。
・ なお「摺り合せ」を早くするため、ローター表面のペーパー研磨(HPのメンテナンスのコーナーを参照ください)などは有効です。

これを見て、「何だ!ただの馴し運転じゃないか」と思う人へ。その通りです。しかし、「摺り合せ」を行わずにいきなり、厳しいブレーキングを行うと、鳴き、効きの面であまりよくないということです。使い始めが肝心だということですネ。




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