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タイヤとブレーキ

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タイヤとブレーキ


タイヤとブレーキ、実は切っても切れない関係なのです。ブレーキの効きは、ブレーキ システムおよびタイヤ・路面間の摩擦力により左右されます。ブレーキシステムは マスタシリンダ、倍力装置、キャリパ、パッドなどさまざまな部品からできていますが、 最終的にはローターをはさむことによりブレーキを効かせます。
一方、ローターと一緒に 回転しているタイヤは、路面との摩擦力を利用して制動力を得ます。つまり2段階 になっているわけです。両者がうまくかみ合うことにより、最適なブレーキ力を得ること ができるのです。例えば、滑りやすい路面では、いくらブレーキを踏んでも (ブレーキシステムが立派でも)タイヤがロックしてしまい(摩擦力が小さくなる) ブレーキが効かなくなることでご理解いただけると思います。

先ずは、ブレーキシステムです。ブレーキ力Fは、下記の式で表されます。


【計算式】
F=Kx A x μ x P x r/D
===========

F=タイヤと路面間で
得られるブレーキ力
K=定数
A=キャリパシリンダ面積
μ=パッド摩擦係数
P=ブレーキ油圧
(ペダル踏力にほぼ比例)
r=ブレーキ制動径
(ローター径にほぼ比例)
D=タイヤ外径

なんだか解り難いかも知れませんが、分子がブレーキシステムに、分母がタイヤに 関する項目と覚えてください。
例えば、効きを良くしようとすれば(Fを大きくする)、分子のブレーキシステムを強化 すれば良いわけです。ローター径(ブレーキ制動径r)アップ、パッドの摩擦係数μ アップなどです。逆に、タイヤではタイヤ外径Dを小さくすれば良いわけです。

ブレーキシステムの強化については、雑学講座「タフなブレーキ」で、お話しましたので、 今回は、タイヤ外径Dとタイヤサイズの関係について説明します。 タイヤサイズは、通常タイヤ側面に下記のように表示されています。

このタイヤサイズからタイヤ外径Dがわかります。

一般的にタイヤ外径Dは、断面幅W、偏平率、ホイールリム呼びが大きいほど大きく なります。つまりブレーキの効きは悪くなります。なお、タイヤの種類、ロード インデックス、許容最高速度はブレーキの効きに直接影響ありません。

では、具体例としてタイヤをインチアップする場合のブレーキの効きを考えてみましょう。

例1のように、「ホイールを15より16に、偏平率は55のままにした」場合は、 タイヤ外径Dが606mmから633mmと約5%大きくなります。上式からわかるよう に、ブレーキの効きは5%悪くなります。例2のように、「ホイールを15より16に、 偏平率を50よりにした」場合は、Dは606mmより612mmとなり、効きはほとんど 落ちません。
例3、例4からわかるように、タイヤ幅Wを大きくする場合は、同じブレーキの効き を得るため、偏平率をより小さい45にしなくてはいけません。
なお、タイヤをインチアップする場合は、タイヤ外径Dを現在装着のタイヤと ほぼ同じとすることが必要です。タイヤ外径Dが違いすぎると、ブレーキの 効き以外にも、速度計、ABS作動、車両との干渉などにも影響します。

次はタイヤ・路面間の摩擦力です。
この摩擦力(摩擦係数)は路面状況(雪道、砂利道、湿潤路面、乾燥路面など) とタイヤ特性(トレッドパターン、ゴム材料、空気圧など)によって違ってきます。 路面状況は別にして、タイヤには高摩擦係数、安定した摩擦係数が要求されます。 タイヤメーカーは、ブレーキ性能以外にも操縦性、燃費低減、騒音低減などを考慮 しながら、トレッドパターン、ゴム材料、タイヤプロフィールを開発しています。
タイヤ特性の違いを例に取れば、F1では、乾燥路面のときは、溝の無いスリックタイヤ、 雨降りのときは、水はけの良い溝付タイヤと使い分けています。
また、最近のスタッドレスタイヤでは、雪が溜まりにくいトレッドパターンは勿論の こと、低温でもゴム弾性を保ちやすいゴム材料を使ったりして、摩擦係数(グリップ力) のアップを図っています。
なお、ゴム材料を変えるとタイヤの踏ん張りなどが違ってくるため高減速度域での ブレーキフィーリング、ABS作動タイミング、あるいは高減速度での制動距離 (タイヤメーカーのカタログ値)が若干違ってくることがあるそうです。  

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