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パッドの点検 その1

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パッドの点検 その1


今回は若干専門的になりますが、タイヤを外した状態でのキャリパとパッドの点検について お話ししましょう。
ブレーキは、車検毎に点検・整備するように決められていますので(参考1)、通常ほとんど 気にしなくてよい存在です。しかしながら、ブレーキに高負荷のかかるサーキット、坂道、悪路 走行等を頻繁に行いますと、ブレーキ各部の劣化が促進され、車検毎の点検・整備以外 に随時の点検(整備)が必要となってきます。坂道、悪路走行が主な場合は、6月毎または 6000km毎の点検が目安です。サーキット走行の場合はその都度点検されるのがベストですね。

先ずは、タイヤをはずした状態での点検です。ブレーキ・ペダルを踏んで、パッド(対向型、 浮動型)(参考2)及びキャリパ(浮動型のみ)がスムースに動いているかどうか点検しましょう。 同時にロータも点検すると(参考3)効率的ですね。
パッドがスムースに動かない場合は、効き不良、鳴き等の要因となります。パッド摺動部 (キャリパ、パッド、鳴き止め金具・板等)の錆・泥付着、圧痕等が主な原因ですので、この 部分の清掃、鳴き止め金具・板(寿命は一般的には2~3年(1車検)です)の清掃・交換等 を行ってください。またパッド摺動部(ロータとの摺動面ではありません。念のため)の滑り を良くするため専用グリース(鳴き止め、錆び止め用)を塗布してください(塗布方法は各車 の整備書に準じて行ってください)。

キャリパ(浮動型)がスムースに動かない場合は、反ピストン側パッドの押付力がピストン側 パッドのそれに比べて小さくなるため(最悪の場合押付力が0となる)、効き不良、片効き、 パッド異常摩耗等の要因となります。キャリパ摺動部(キャリパ、ピン等)の錆、泥付着、 ブーツ破損等が原因ですので整備を必ず行ってください。


●参考1: 車検毎の点検、整備に加えて、ブレーキ装置(キャリパ・ブレーキ、ドラム・ブレーキ 、マスタ・シリンダ、ABS等)のオーバーホール(登録から5年目、以後4年毎)をお勧めします。 キャリパ・ブレーキですとキャリパ等金属部品の洗浄、シール交換、ブーツ交換等により、 液漏れ防止、安定した効き、鳴き防止等が図れます。 

●参考2: 対向型、浮動型キャリパの構造、比較はHPのSEMINAR3,4「二つのキャリパ」を 参照してください。

●参考3: ロータの点検方法はHPのMAINTENANCEを参照してください。


次はパッドをキャリパから取り出しての点検です。先ずパッドと鳴き止め金具・板、パッド 保持ピン等をキャリパから外します。
最初はパッドのライニング表面(摩擦面)の状態(クラック・欠け、傷、付着物・変色具合) を点検しましょう。
クラック(図1)は熱応力と機械応力が繰り返し加わるためライニング表面に小さなひびが 発生しこれが内側に進展したものです。高速・急激・頻繁なブレーキングが主な原因です。 小さなクラックであれば性能的には問題ありませんので再使用可能ですが、チェックは 常に行ってください。

このクラックが更に大きくなってライニングの一部が脱落したものが欠け(図2)です。欠け 面積が全体面積の10%以上であれば安全のため新品と交換してください。


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