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実車試験

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実車試験



前回は、ベンチ試験についてお話しましたが、今回は実車試験についてです。試験項目としては 法律適合性試験、性能試験・耐久走行試験などがあります。

日本国内で販売されるクルマについては、道路運送車両法に従って、停止距離、道路から のはみ出し、ブレーキシステム失陥時の停止距離、坂道停車性能などの試験を行い、 規制値を満足しているかどうか調べます。また、欧米向けの輸出車もその国(地域)の 試験方法に従った法律適合性試験が必要です。勿論、海外のメーカーが日本に輸出する 場合も同様です。このように適合性試験には膨大な労力が必要となり、関係者から その低減が叫ばれてきました。そのため国際機関(ISO)でクルマの試験方法の統一が熱心 に議論され、一部では既に実施に移されています。
なお、規制値は国(地域)によって違っていますし、統一への動きもありません。 各国の文化、道路事情などの違いから当然といえば当然ですね。

性能試験・耐久走行試験には、停止距離、操縦安定性、ABS性能、VDC性能、鳴き、降坂走行 、砂利道走行、氷上走行、悪路耐久走行など数え上げればキリがないほどの試験項目があります。 最近では、車種の増大に伴い全ての車種で全ての実車試験を行うのがだんだん難しくなって きています。このため、実車試験の統合、台上実車シミュレーション試験の開発が図られています。
なお、実車試験は高速周回路、操舵路、旋回路、低μ路、跨ぎ路、悪路、雪道などを使って 行われます。そのためメーカーは、国内テストコース、冬季テストコース、海外テスト コースなどを保有しています。また、必要に応じてサーキットコースも利用しています。

ところで、読者の方から特定のコース、クルマで満足できるパッドが欲しいとのご要望が たまにあります。技術的には、実車試験による走行条件把握、それをシミュレートした ダイナモ試験条件の設定、パッドの設計、台上試験、ダイナモ試験(数サイクル)、 実車確認試験と一連の仕事を行えば可能です。しかしながら、これには膨大な費用、 期間、人手が必要な上、コース、クルマ、ドライバーが変わるとまた一から始める 必要がありますので、なかなか、引き受けできないのが実情です。


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