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パッド摩擦性能試験と摩擦係数 その2

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パッド摩擦性能試験と摩擦係数 その2

次は、水濡れ性能試験です。
水濡れ性能試験は、雨降り時あるいは冠水時をシミュレートした試験です。ローター・パッド間の水膜、パッド湿潤の影響を調べています。ブレーキに水を掛けた後、低速からブレーキを10回ほどかけます。摩擦係数は最初の数回は低下しますが、水が飛散し、温度も上がってくると元通りになってきます。
なお、ドラムブレーキはドラム内部に一旦、水が入ってしまうとなかなか元に戻りません。水濡れ性能が良いのはディスクブレーキの特徴の一つです。穴あきホイールは、水が浸入しやすいので水濡れ時には注意しましょう。

(参考1)2輪車は、水濡れの影響が大きいため、水濡れに強い焼結パッドを使用しています。
(参考2)新幹線は、降雨時、レールと車輪間に水が侵入し滑りやすくなります。
そのため、特に滑りやすい先頭車両では車輪がロックしないようにブレーキ力を小さく設定しています。

以上で、パッド開発の基本となる「JASOパッド摩擦性能試験」についてお話しました。この試験だけで開発完了となればいいのですが、実際の使用条件を考えると更に厳しい条件の試験が必要となってきます。その一部をご紹介しましょう。


まずは、「温度別摩擦性能試験」です。この試験は、制動前の温度を数10、100、200、300℃・・としているのがJASOの摩擦性能試験との違いです。
平均摩擦係数の温度依存性(初期温度による摩擦係数の変化。図2参照)を調べるのが目的です。
一般的に平均摩擦係数は、高温になるほど低くなってきます。高温になるほど材料強度が落ち、劣化が促進するためです。
スポーツパッド(パッドB,C,D)は純正パッド(パッドA)に比べて耐熱性のある材料を使用し、高温でも平均摩擦係数が下がらないようにしています。
基材として金属繊維(鉄)を使っているパッドD(他社スポーツパッド)は平均摩擦係数が温度によって大きく変化しています(温度依存性が大きいといいます)。同じスポーツパッドでも金属繊維を使用していないパッドB(アドヴィックス SPORTS PAD SS)は低温から高温まで比較的安定しており、いつも安心してブレーキングできるパッドといえるでしょう。

なお、スポーツパッドに表示している「最高使用温度」は、通常はローターの温度(パッド温度はこれより50~100℃低い)を示し、連続負荷時間も数分程度が限界です。最高使用温度での長時間使用はフェード、パッドの白色化・破損あるいは裏板・ライニング間の剥離につながりますので十分注意してください。
(注記)実際の使用に際して、メーカーの取扱説明書をよく読んでください。

                          (続く)


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